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ものつくりの生活と仕事から。 大島寛太の日記パート2

銀木犀〈東砂〉ポスト納品

4月末に、江東区の銀木犀〈東砂〉へポストの納品でお伺いしました。

GWのかかりで乗り物が込んでおり、予約の取れた夜行バスでam5:30に秋葉原に降ろされます。
都市の早朝は割と好きな空間です。
駅前で酔いの覚めないまま、始発を待つスーツ姿の若者たち。
高架下で身を覆う毛布すらなく横たわるホームレスたち。

シュールな寓話の世界に迷い込んだような感覚を覚えながら、
工具を入れたスーツケースを引く自分を空から見ているもうひとりの自分を感じながら。
都市の早朝は波打際に似ていると思う。


・・・・・・・・・・


道幅の細い、昔ながらの商店街のなかというロケーションの一角に建てられた銀木犀〈東砂〉。
控えめな外壁の道路に面したガラス窓から、室内のあたたかな照明が見えてきます。

玄関は間口1間ほどでしょうか。
ガラスを大きく取った建具と同じくガラスの入った袖壁の片引き戸になっていて、
過不足なく、〈家の玄関〉にちょうど良い印象を受ける。




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そのエントランスのガラス越しにはワンちゃんがお出迎え。
スリムで小柄なラブ?かテリアは置き物なんですが、通りがかるたびにびっくりしました・笑。

玄関を入ると、まっすぐに廊下が奥へ伸びています。
廊下の左側が小食堂。少し進んで右側に事務所のオープンカウンター。
廊下の突き当たりを左に曲がると、大食堂のあるホール的なお部屋に繋がっています。

館内は一見、ごく自然にこうなった、という顔をしているのですが、
これらの間取り、天井の高さ、廊下の幅、照明、本棚の奥行きなどが
僕にとってはちょうど良くて、こういうのをヒューマンスケールと呼ぶのだろうかと感じていました。

まっさらな敷地に空間を構築してゆく過程を想像し、
ひとつの建築を構成する想像力と忍耐に思いを馳せることができる。
これは非常な幸せだと感じます。

玄関を入った廊下の右側の壁に、今回は初めて壁掛けタイプのポストをご注文頂いただきました。




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僕の仕事場は十何年か前までは地区の町内会館として使われていた建物で、
軒下の共用部分には20戸分ほどの集合新聞受けがあります。

山村と呼んでも間違いではないような、里山の中腹に位置する集落で、新聞を戸別に配達するのは別料金がかかる。
現在は5〜6戸分のもっと小さい班ごとに新聞は配達されていますが、
考えてみるとマンション1階の集合ポストと同じシステムなんですね。

仕事場の新聞受けは、大工さんがコンパネで釘うちでつくった、良く言って〈ラフ〉なものですが、
数年前に下河原さんが初めて僕の仕事場に来てくださったときに、
〈かわいい〜〉って言ってそれを見ていたのを覚えています・笑。
写真も撮っていたような気がする。

その集合新聞受けが、今回の壁掛けポストのモチーフです。




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材料は栗。
モチーフは薄い板で簡素につくってあるのが魅力だと感じていたし、壁掛けにするので軽くする必要もある。
ホゾ組みが出来て、かつビジュアル的に不安を感じない程度に部材の厚みを決めました。

12mmの前板は1枚の盤から挽いた共木を使っています。
薄めの板なので、反りを抑えるために縦仕切り板と蟻桟で組んで、
蟻の仕口を隠すためと、柔らかい栗材の摩耗や傷、新聞のインク移りでの変色を防ぐため、
前板の上の木端は堅いウェンジ材を矧ぎ足しています。

新聞の3つ折が多分ちょうど入って、ハガキの頭が少し出る深さ。
品名差しは真鍮のデッドストック。
ダウンライトも点けてもらって、仕事場で見ていたときよりもずっと背筋が伸びて見えます・笑。

下河原さんはシンガポールでのエイジングケアコンペへ出撃中のためご不在でしたが、
今回も良い経験させていただきました。

設置、納品をフルサポートしてくださった設計の堺さんにも深謝。

ありがとうございました。




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小食堂と大食堂をつなぐ廊下



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大食堂のふたつの小部屋。
共用のフリーキッチンがあって、台所があるのとないのでは、住まいとしての自由度が全然変わると思う!



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3月末に納品したメープルのテーブルと椅子
照明や小物などのディテールにまで、配慮が行き届いていて、気持ちがいいのです。



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  1. 2016/05/25(水) 06:43:01|
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