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ものつくりの生活と仕事から。 大島寛太の日記パート2

銀木犀〈浦安〉納品


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先週の12月3日、新しくオープンする銀木犀〈浦安〉へ、家具の納品にお伺いしました。
食堂で使っていただくテーブルとアームチェア、それからここで生活される入居者の方たちの郵便受け、パグポスト。

浦安の住宅街の一角に見えてきた新しい銀木犀は、ブルーがかったグレーの外壁に、溢れんばかりの植栽。
いままでは広葉樹が多かった気がするのですが、今回の植栽のメインは松。赤松。
外構の工事はまだ続いていて、植木屋の親方と下河原さんがお話ししています。

植『ソテツのところは栗石を敷いて、なんとかかんとか・・・』

下『いいね!やりたいようにやってよ。新しいことをやっていかないと‥』

ふ〜む。江戸時代、職人に仕事を与え、建築技術や工芸を発展させた“旦那衆”と呼ばれた存在は、こういうものではなかったか。
そんな気がします。

前日仕事場で見送ったトラックから、下河原さんと職員さんと荷下ろしをします。
繊細な工作が積み重なっているポストも、傷ひとつなく届いている。
朝日のなかで玄関先に仮置きしたポストを、『いいね〜、ちょっと写真撮らせて』って言って、喜んでいただく。
最高の納品です。





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椅子とテーブルはメープルの無垢材で製作しています。

今回は浦安の納品後に、5年前にオープンした銀木犀鎌ヶ谷へお邪魔しました。
鎌ヶ谷所長の松丸さんが浦安までお迎えに来てくださり、
車のなかで銀木犀での日常や、看取りについてお話ししてくださいました。

ご本人やご家族の方の意志により、銀木犀で最後の時を迎えられた方たちを見守るお話。
急性症状が現れ、病院に搬送された入居者さんを、必死で〈銀木犀という家〉に連れて帰ってくる話。
『この方を連れて帰ったら亡くなりますよ?』というお医者さんに、
ご本人とご家族の意志を伝え、『いいんです』と伝える勇気。

その入居者さんを松丸さんはワゴン車の後ろに載せて、絶えず声をかけながら銀木犀へ帰ってくる。
車椅子を降ろし、ご自分の部屋へと押してゆく途中で、そのおじいさんがトイレを指差す。
もう長いことオムツで、自力での排泄はしていなかったから、トイレ行くの?って聞くと、
おじいちゃんは声は出ないけどゆっくりと頷く。

本当に出るのかなと思いながら、トイレに腰掛けてもらって、彼はその隣りにしゃがみ込む。
いくら待ってもオシッコは出ない。それでも、ほんとに出る?と聞くと、おじいさんはまたゆっくりと頷く。
声を掛けながら松丸さんはそうしておじいさんの隣りでずっとしゃがんでいたそうです。

そうすると、やがてちょろちょろとオシッコが出てきた。
そしてそのオシッコの最後の一滴が出きった瞬間、おじいさんはそのまま、便座に座ったまま、息を引き取ったそうです。

松丸さんは、こんな仕事に携わることが出来て幸せだと仰っていました。
僕は昨年、『家に帰りたい帰りたい』と言いながら、病院で点滴を受けながら亡くなった、大好きだったオジーのことを思い出し、車のなかでボロボロと泣いてしまいました。

鎌ヶ谷でお使い頂いているテーブルは、5年間よく拭き込んで使っていただいた様子が、表面の艶になって現れていました。
納品した時より、ずっとずっと良い。

銀木犀を始めるときに下河原さんが仰っていた〈施設じゃなくて家をつくりたいんだ〉という言葉をいつも思い出します。
いまは真新しいメープルのテーブルと椅子も、いつしか日常のなかに溶けて、物語のなかに溶けて、ヨゴレもシミも受け容れて、家の一部になってくれることを祈っています。





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愛知県の北洋木材さんで仕入れたメープル材。
それぞれの板から必要な部材を切り出すための墨を入れる、木取りの作業。


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僕の墨壷はザトウクジラです。


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納品の朝は、下河原さんご一家と舞浜駅で待ち合わせ、
組み立てを社長直々に手伝っていただきました。
娘の愛ちゃんは、我が家の環子とおんなじ3歳。
サイズ感もよく似ており、『かんた〜!』って呼んでくれます。



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食堂は3部屋にゆるやかに分かれており、障子窓のこの部屋は穏やかな光。


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お昼ご飯は僕がリクエストし、大好きなうなぎ!
忠道さん、今度は和歌山で天然食べましょうね!


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photo by shimogawara


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photo by shimogawara


今回の納品では、テーブルは樫本弘さん、
パグポストは脚、取っ手金物以外の製作を石田徹さんにお願いいたしました。
ノックダウン式ラウンドテーブルの下地金物は、海南の現代鍛冶屋HOUSE HOLD INDUSTRY 武田氏の職人仕事。
ノックダウン式テーブルの特注真鍮金物は大阪の南製作所様。
椅子の張り地加工は田辺市のリ・カバー 荒瀬さんにお願いしています。
材料の手配では、北洋木材のKさんにご尽力いただきました。
そして今回もまるまる1ヶ月休みなしで追い込みを共にし、最後から2脚目の椅子の組み立てでぎっくり腰となった中山君。
ほんまお疲れ様でした。
製作に先立っては設計の堺さんに大変お世話になっています。

ひとりではできない仕事を、こうして信頼できる先輩、仲間たちとひとつのチームになって積み重ねてゆけることに心から感謝しています。











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  1. 2016/12/15(木) 15:14:00|
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