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ものつくりの生活と仕事から。 大島寛太の日記パート2

アキアジ

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家のまわりでも彼岸花が咲き、
仕事場向かいの100円ショップには栗の実が小袋に入って並んでいます。
梅の木は葉をしおらせて、蜜蜂は我が家の小さな畑に咲いたシソの花に集まって、皆さん冬支度に余念がない。
車の窓を開けて走っていると、そこここで金木犀の香りが見えない雲のように漂っていて、
鼻腔から脳へと、斜陽で染まった金色の旗をパタパタいわせながら突っ込んでくる。
間違いようもなく秋です。

毎年送って頂くのですが、北海道のWさんが今年もアキアジを送ってくださいました。
職人は『気持ちいい?』と訊きながらシャケをまず水洗い。
素材への愛情は仕事の基本中の基本と教えられます。




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職人は左利きなんですが、ウチには左利き用の出刃がないため、わたくしが教わりながら捌きます。
職人『そう、そこに出刃の元をあてて!』
わたし『はいっ!』



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職人『次はお尻から頭の方へ出刃の先を滑らせて』
わたし『はいっ!』




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職人『卵はバドミントンのラケットでほぐすとやりやすいんだよ』
わたし『こうですか!?』
職人『こわがらないで、もっとしっかりこすりつけて!』
わたし『はいっ!』




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こんな日本の西南で、北海道の新鮮な恵みをいただけることに心から感謝。
Wさん、いただきます!








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  1. 2014/09/30(火) 08:56:09|
  2. 日々
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製作後記

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今回の銀木犀の仕事では、テーブルはデザインを変更しています。椅子も数多くのマイナーチェンジを施したのですが、ぱっと見の印象はさほど変わらないですね。



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テーブルは引き続きノックダウン(分解組み立て式)で製作していますが、組み立てに使うメインのボルトを新調しました。今までは満足がいかないながらも既製品のメッキのボルトを使用していましたが、今回は露出する部分のボルトを真鍮で外注しました。

出張先のiphoneで上手い具合に写真が撮れなくて、装着後のアップ写真を用意出来なかったのですが、個人的にはやって良かったと感じています。素地仕上げなので金ピカですが、1ヶ月もすれば経年変化がはじまりちょうど良く馴染んでくれるのではないかと思っています。金物はいやでも目立ってしまう部分なので、手間をかける価値があると考えています。



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椅子の方では、形以外のマイナーチェンジも行っています。座面の取り付けはビスからボルトへ、高さ、巾、奥行きの縮小、他にも数カ所。全体的に見て、今までよりは軽く、少しは可愛げのある椅子になったかなと感じています。

部材の成形加工では、以前から検討していた倣い加工を取り入れました。治具つくりに時間がかかったものの、加工が非常にやりやすくなった感じがします。ビットはカネフサの目地払いビット。よく切れるビットです。




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そしてこの度の製作では、本当に友人に世話になりました。
龍神村からヘルプに来てくれた親友・大江。日本が誇るネイティブ・ジャポニカです。
頼みもしないのに21時まで一緒にやってくれて、帰り際には『じゃあ、後は頼んどく』って言って帰ってゆく。
誰の仕事だよ・笑。本当に最高です。



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そして今回もテーブルの製作をお願いしていた樫本さん。
テーブルの仕事も非常にタイトなスケジュールだったのに、毎晩残業を重ねて納期にはきっちりと間に合わせてくださいました。

テーブルの発送が終わってからはヘルプに来てくださって、僕の出張出発前の晩は午前1時半まで付き合ってくれました。こんな先輩は他に居ません。本当に感謝。僕が出発した後に椅子を発送してくださったのも樫本さんです。



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今回はご入居者様用のポストも注文して頂いたのですが、僕の方では間に合わないため、製作は先輩の石田徹さんにお願いしていました。非常に手間のかかる逃げのない仕事なんですが、完璧にイメージ通りに仕上げてくださいました。設置後の写真が今はないため、徹さんの仕事場で撮った写真を載せています。※手前に写っているのは石田さんではありません。




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52口のこのポストは栗材で製作しており、それぞれの小さな扉には手打ちの真鍮取っ手を取り付けています。この真鍮のツマミは僕の仕事。1.5mmの真鍮板から切り出して加工してゆきますが、そのままだとピカピカしているので、熱して叩くことで
表情をつくっています。




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徹さんと一湊。
日高川町のハラペコキッチンにて。
0歳の頃からかわいがってもらっているので、かなり友人気取りです・笑。
いや、友人かもしれない。

僕ひとりの能力ではとても出来ない仕事を、たくさんの友人・先輩たちのお力をお借りして、もうすぐ完了することができそうです。すこしホッとするとともに、素晴らしい人間関係に恵まれていることを、余計に強く感じています。

和歌山に引っ越してきて8年目?ここに引っ越してきて良かったことは?と聞かれたら、『素晴らしい友人や先輩たちに出会えたこと』と、迷わず答えます。

では締めに、一湊に打ち抜かれている大江をとくとご覧ください。




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ばーーーん!!




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ばんばーーーん!!!

(ひでちゃん、ありがと)


  1. 2014/09/25(木) 01:52:21|
  2. 仕事
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銀木犀〈薬園台〉

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先日、銀木犀〈薬園台〉へ家具の納品へ出掛けて参りました。
久しぶりの出張仕事で、たくさんの想いを抱えて参りました。
数日間の経験がまだ自分のなかで言葉になっていないので、文章にするのが難しそうですが、
アウトプットしないといつまでもお腹のなかで反響してしまいそうなのでなんとか言葉にしてみようという試みです。
(言葉にするというのはいつでも、言葉にしてみようとする試みだと思いますが)

今回は椅子の仕事がどうしても間に合わず、注文のなかの数脚の納期を少し遅らせて頂いたのですが、それでも間に合わず、テーブルの納期に合わせて無塗装の椅子を発送し、現場で塗装するという非常に情けない状況になってしまいました。

テーブル納品の朝に特急で田辺を発ち、新大阪経由で東京へ。設計の堺さんご連絡いただいた通りにそこから千葉県船橋市の薬園台の駅まで。駅まで迎えに来てくださるというので、西口に降りて一服していると『カンター!!!』の声。

銀木犀を運営されているシルバーウッド社長・下河原忠道さん(以下・忠道さん)の声です。間違いなく・笑。
このブログでは何度か書いたことですが、忠道さんとは屋久島の縄文杉への登山道で出会いました。ふと思い返してみると10年前になる。僕が23。忠道さんが33。

忠道さんに会って、ひとまず再会のハグ。そして、椅子の一部の納期が間に合わないことと、現場で塗装させてほしい旨について、非常に恐縮しつつ許しを乞う。間髪入れず『いいよ!一緒にやろうぜ!』って即答が返ってくる。こういう人間になりたいと、心から思う。




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そこから車で銀木犀まで連れて行ってもらう。
外構の植栽はまだまだ作業中で、それでも敷地に一歩踏み入れると既に雑木林の気配。入り口のしだれ桜、ヒメシャラ、元から植わっていたという柿、サルスベリ、槙?他にも名前を存じ上げない樹木がずらっと。10年経ったらもう公道から建物は見えなくなるんじゃないかと。




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本日到着のはずのテーブルはまだ届いておらず、館内を散策させてもらう。床はヒノキのフローリングで、壁は白。通路の奥にスターネットの椅子が置かれている。
銀木犀は“サービス付き高齢者向け住宅”という括りで分類される施設ですが、いわゆる“老人ホーム”とは違う。はっきりと違う。それは、コンビニのお弁当と、母の手料理くらい違う。水道水と湧水くらい違う。造花と野の花くらい、はっきりと違う。
“施設じゃなくて家をつくりたいんだ”という、忠道さんがこの仕事がはじまった3年前に仰っていた言葉に全てが集約されていると思う。“俺が住みたい家をつくる”という率直さ。そこには間違いというものはないように思います。だって、俺が住みたい家をつくるんだから・笑。





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18時になってようやくテーブルが届いて、テーブルの制作をお願いしている樫本さんの、惚れ惚れとする梱包を解いて、ひとまず1台を組み立てて、その日は終了。




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次の日に椅子が20脚届いて、昼間はテーブルの組み立てをして、夜は椅子の塗装。そこへ忠道さんがお弁当をもって登場してくれる。愛犬のアメリカンコッカースパニエルの“ポトフ”と一緒に。ポトフはとにかく無邪気な性格の、つまりちょっと、ちょっと、、、な可愛いやつで、オープン前のピカピカの館内でオシッコはするわ、固いのはするわ。

現場で寝袋泊まりの翌朝、目を覚ますと食堂の外の三和土の犬走りに見事な犬の走った足跡が。。。
これは。これは。。。昨日外構屋さんが一生懸命叩いて水を撒いてたんですけど・笑。





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その後、本当に忠道さんが塗装を一緒にやってくださって、テーブルと持ってきた椅子の納品 が完了。
ちなみに忠道さんはもともと現場で職人をやってたとこから仕事を始めているので、身のこなしが半端じゃなく早いです。
重力を無視したような早さで動くので、ついて行くのに必死です・笑。このエネルギーがあるから、全ての雑音を振り切って前に進めるのだと思う。忠道さんが銀木犀でやっていることは、普通じゃないです。常識はずれなことをしていると思う。そして、それを常識にしようとしているんです。“それ”っていうのは、他者と自分の区別を消してしまうということだと、僕は感じる。僕の感じ方は、つい理想的に走っていると自分でもわかっているつもりですが、それでもそう言わずにはいられないくらい、自分を燃やしていると思う。間違いなく高血圧だと思います。心配なくらい。




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オープニングパーティー前夜の食堂で、樫本さんのつくってくれたテーブルを撮影しようとしてみるけれど、もう、家具の話なんて、ほんとどうでもいいのです。
銀木犀チームの熱意のかたまりが、日常に溶けてゆく前の、最後の夜。
もう、俺なんて、どうでもいいのです。
価値がないのじゃなくて、価値の一部になった感覚のなかで、もう自分なんてどうでもいいのです。

ほらね、沖の方からまた大きな波が来ます。






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またお前かい・笑!




 



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  1. 2014/09/20(土) 00:47:20|
  2. 仕事
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